基地のまちで求められる移動サービス
横須賀は米海軍施設を抱える土地柄から、外国人の移動需要が絶えない。この特性に応える形で機能しているのが芙蓉交通株式会社だ。2022年6月に横須賀市で始まった「Uber Taxi」の配車サービスに、市内5社の一員として参画している。Uberアプリは50カ国以上の多言語に対応し、乗車場所と目的地を入れれば料金の目安や到着予測が確認できる。言葉の壁を越えて車を呼べる仕組みが、基地のまちの移動を後押ししている。
この導入は神奈川県では初、全国で14番目という節目の取り組みだった。地元に根ざした横須賀のタクシー会社が持つ経験と、Uberのテクノロジーが組み合わさった連携である。
関東部門受賞に至った積み重ね
2025年2月、虎ノ門ヒルズで開かれた「Uberサミット2025」で、芙蓉交通株式会社は"Taxi of the Year 関東部門"に選ばれた。横須賀市の一社が、名だたる都市の事業者を抑えての受賞だ。代表の八木達也氏は、激しい変化を迎えるタクシー業界にあって、これを新しい取り組みと捉えている。個人的には、基地のまちという特殊な環境を強みに変えてきた発想が、この受賞の背景にあるように思えた。
観光から福祉まで、対応の幅を広げる
芙蓉交通株式会社の車は、横須賀市内全域を配車エリアとし、年中無休・24時間で走り続けている。総車両数は43台。観光タクシーで三浦半島を巡る客を運び、羽田・成田への定額タクシーで空港への確実な移動を支える。スマホ配車や便利タクシーもそろい、用途に応じて乗り方を選べる。
車いすのまま乗車できる『福祉用シエンタ』を導入している点も見逃せない。新人ドライバーはユニバーサルドライバー(UD)講習を修了してから乗務に就く決まりだ。外国人客への多言語対応、観光客への案内、身体状況を問わない乗車環境。異なる客層それぞれに向けた準備を、一つずつ積み上げている会社である。


