有給取得率90%が示す、建設業の新しいかたち
2025年、社内の有給平均取得率が90%に達した——この数字を、建設会社が出している。株式会社杉野技巧は埼玉県さいたま市岩槻区に拠点を置き、1986年の創業以来、建築金物工事と鋼製建具工事に特化して事業を続けてきた会社だ。現場作業員も含めたスタッフ全員が協力して休みを取り合う文化が根付いており、月平均残業時間は0.6時間にとどまる。年1回実施される社長面談で、現場の困りごとをトップへ直接届けられる仕組みも、この環境を維持する一因になっている。
悪天候で現場が止まる日の収入は休工保障制度でカバーされ、社会保険4種・退職金制度・法人医療保険も完備する。「建設業でここまで揃っている会社は珍しい」という声が目立つ。
都内大型プロジェクトへの参画実績が示す施工水準
「麻布台ヒルズ」「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」——いずれも竣工後に広く注目された都内の大規模施設だ。株式会社杉野技巧はこれらのプロジェクトで建築金物の取付施工を担い、オフィスビルや公共施設での施工実績を積み重ねてきた。アルミ・ステンレス・スチールの各パネル外壁取付から、ルーバー・手摺・鋼製建具・チャンバーボックスまで、取付施工の対象範囲は建物の外観から室内の仕上げまで広がる。施工精度を担保するため、図面寸法の確認と水平・垂直ライン管理を現場の基本動作として徹底している。
現場は東京都23区が約8割で、残りは埼玉・神奈川・千葉。50代から70代のベテラン職人が施工の中核を担い、その技を若手に伝えながら現場が動いている。
未経験×月給28.7万円〜という異例の入口
建設業未経験でスタートしても、月給28.7万円〜30万円以上という設定が用意されている。年2回の賞与は2021年度の約19.8万円から2023年度には約43.1万円へと増加しており、長く在籍するほど還元が厚くなる傾向が数字に出ている。資格取得支援制度では、会社が推奨する資格の費用を全額負担する。未経験から4年で現場リーダーになったスタッフの実例は、処遇の充実と育成の本気度を同時に示している。
個人的には、未経験スタートでこれだけの条件が揃っている会社は、建設業に限らず珍しい部類に入ると感じる。採用間口の広さと処遇水準のバランスが、応募者に刺さる理由になっているのだろう。
熟練職人の技を間近で学べる、現場中心の育成スタイル
株式会社杉野技巧の育成は、現場そのものが教室になる形で進む。入社後は社会人マナーや報告・連絡・相談の基礎から始まり、安全確認の徹底を身につけながら取付施工の技術を積み上げていく。50代から70代のベテランが隣でやり方を見せながら指導するスタイルのため、テキストだけでは得られない現場感覚が早い段階で身につく。インドネシアから新たなメンバーを迎えるなど、近年は採用の多様性も広がってきた。
現場は朝礼からスタートし、適度に休憩を挟みながら作業を進める1日の流れが決まっている。職人は直行直帰のため、拠点への出勤なしに現場へ向かう日も多い。


